2013年8月16日金曜日

リーダーは優れた人間でなくてはならないか

 組織ときくと、ついピラミッド型の組織構造を連想し、リーダーときくとその頂点に立つ実力者を連想しませんか。

 しかしながら「リーダーは組織の中でいちばん優れた人間でなくてはならない」と考えるリーダーが率いる組織のパフォーマンスは、そのリーダーの力量に制約されます。

 なぜなら、そのリーダーは、「優れているはずの」自分の理解の及ばない意見具申を採り上げるわけにはいかないし、自分以外のメンバーが指導的立場に立つことも許容できなくなるからです。リーダーの姿勢は自然と、組織のパフォーマンスを最大化することより、自分が主導権を握ることに重きを置きがちになります(しかも残念なことに、リーダーが組織の中で最も優れた人間である保証はまったくないのです)

 そもそも本来のリーダーの使命は、ゴール(目的・到達点)を明らかにし、組織構成員の持ち味をつかみ、貢献意欲を引き出し、その貢献を無駄なく組み合わせてゴールを目指すことです。
 ゆえに、リーダーはつねに「目的は何か」に照らして発言し、行動する(ときにはむしろ自制することも大切でしょう)よう心掛けなくてはなりません。かかるリーダーの役割が全うされれば、組織のパフォーマンスは自ずとリーダーの力量以上になるはずです。

 川村 尚也『「王様のレストラン」の経営学入門―人が成長する組織のつくりかた』(扶桑社 1996)は、フジテレビの人気ドラマを題材に「クリエイティブなチームを作るにはどうすればよいか」を論じた興味深い本でした。
 本書が提示した組織のビジョンは「素晴らしい能力を持ったリーダーはいらない。チームメンバー個々が状況に応じてそれぞれの特性を活かしてリーダーシップをとれるようになっていく。」というもの。
 つまり「リーダーシップを発揮する人物」は組織にとって不可欠ですが、「リーダーという肩書の人物」は必要ないわけです。

 逆説的ですが「リーダーの経験能力はさほどでもないのにパフォーマンスが高い」組織のリーダーこそ、本当は優れたリーダーなのかもしれませんね。




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