2013年8月25日日曜日

企業と就職希望者の「ご縁」

 企業の採用担当者が、応募してきた学生にお断りの連絡をいれる時、しばしば「今回はご縁が無かった」という表現を用います。

 私はこの、ご縁が無かった、という言い方が好きです。
 なぜなら、採用の成否というのはまさに両者の相性の問題であって、どちらかが振った振られた、というものではないと思うからです。

 長い就職氷河期は、企業側が一方的に学生を選ぶかのような風潮を生んだきらいがありますが、それは錯覚です。

 以前NHK教育テレビで放送されていた「地頭クイズ・ソクラテスの人事」は見ていて不快でした。
 この番組は、企業の人事担当者が出演し、解答者の中から誰を採用したいかを判定するものでしたが、いかにバラエティ番組とはいえ、「企業もまた学生から値踏みされているのだ」という視点を没却しているように感じたからです。

 採用の場面だけではありません。モノやサービスの供給者と需要者の関係も、一方的に需要者が選ぶものではなく、両者は本来対等に結びつくものです。
 業界によって(業者によって)違いはあるようですが、専ら選ばれるだけの供給者というのはある意味不健全ではないでしょうか。悪いのは選んだ側で、選ばれた自分はしようがなかった、自分はニーズに応えただけだ、という言い訳めいたムードをつねにまとっている感じがするのです。

 閑話休題(すべてが閑話かも知れませんが)。以前、信頼できる国際派のビジネスパースンに『採用に当たって、選考のポイントにしているのはどのようなことですか?』とお尋ねしたとき、返ってきた答えは次のようでした。

『知識には期待していないけれど、ある状況にどう対処するかを、これまでの知識を総動員して一生懸命考える人。そんな人を僕らの仲間として迎えたい。』

 その答えに、採用担当者を一方的な高みにおいて無いものねだりをするのでない、応募者と対等なスタンスを感じ、爽やかな気持ちにさせられたことを思い出します。








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