2013年4月8日月曜日

ルビーの王様を手に入れるには


 子供の頃にみた『ムーミン』というテレビアニメ番組の一話です。

 あらすじはたしか、こんなふうでした。

 ムーミンたちが「ルビーの王様」という世界に一つしかない大粒の宝石を見ていると、そこにルビーの王様を長年探していた「飛行オニ」という空飛ぶ魔人がやって来ました。
 何としてもルビーの王様を手に入れたい飛行オニは、譲ってあげることはできないと断ると、大変落胆します。
 「飛行オニさんはどんな魔法でも使えるのだから、魔法でルビーの王様を出したらどうなの?」と訊くと、飛行オニは「わたしは人の望みをかなえる力はもっていても、自分の望みをかなえる力はないのだ」。
 するとある女の子(名前は忘れました)が「じゃあ、私のためにこのルビーと同じものをだして」と飛行オニに頼みました。飛行オニが魔法でルビーの王様とまったく同じ宝石を出すと、その子は「これ、飛行オニさんにあげるわ」。飛行オニはこうしてとうとう長年の望みであるルビーの王様を手に入れ、女の子の優しい気持ちは生涯忘れない、と言って去っていきました。

 私たちは、当然ながら自分自身が一番かわいい。でも、だからと言って自分のために自ら出来ることは、非常に限られているような気がします。相互に貢献し合うことで、お互いのルビーの王様がはじめて手に入れられるのではないか、最近そんなことをぼんやり考えます(もともと世の中とはそうしたものでしょうが)。

 ところで「ネットワーク社会」という用語は、一般的には、インターネットなどの情報通信インフラを介して情報が共有・やりとりされる世の中を指すことが多いように思います。
 それは、より本質的には、個人間の物理的距離、あるいは社会的な地位差があまり意味を持たないフラットな人的ネットワークが形成される社会です。

 ではそこでつながった人同士の力を互いに生かすにはどうしたらよいのでしょうか。

 相互貢献は、貢献したい意欲だけで成り立つものではなく、相互の価値観や思想、見識、力量を推し量って、認め合うことではじめて可能なもの。

 国会、内閣、裁判所という三つの独立した機関がけん制しあうことで三権分立がうまく機能するように、われわれも相互にいっさい干渉しあわない「水のように淡い関係」から脱し、摩擦や対立をおそれず(ときにはおせっかいを焼いたりしつつ)、互いをよく知り、認め合う関係を築くことが、「ルビーの王様」を手に入れる近道のような気がします。





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