2013年4月10日水曜日

ブレない馬鹿が、私は好きよ。


 ちょうど私が社会人になりたての頃だったか、糸井重里さんの「本読む馬鹿が、私は好きよ。」という秀逸なコピーがありました。
 本を読む、という少なからず時間とエネルギーを要する行為をまったく功利的に捉えていないところが清々しい、と当時感じた記憶があります。

 私も「本読む馬鹿」ですが、個人的には「ブレない馬鹿」のほうがもっと好きです。

 ブレない馬鹿の代表にまっさきに挙げたいのが、先日亡くなったマーガレット・サッチャー元英首相です。彼女がたいへん聡明な方だったのであろうことは疑いありませんが、愚直と言っていいほど政治姿勢に全くブレがなかった点では、称賛さるべき馬鹿だったと思うのです。
 「私は意見の一致を求める政治家ではない。信念の政治家だ」という発言は、何よりそのことをよく言い表しています。

 司令塔が「動かざること山の如し」とデンと構えているかどうか。そのこと自体が、物事の成否を大きく左右することは決して少なくありません(この点、黒田日銀総裁や岩田同副総裁の毅然とした姿勢を見ると、今後の金融政策には期待してよい気がしています)。

 サッチャーさんの意思決定が全部正しかったわけではないでしょうが、まわりの評価に言動を左右されることがなかったからこそ、あれだけの政治的功績を残し得たのだと思います。

 そういえば、私が子供の頃いちばん好きだった物語のひとつに「イワンのばか」がありました。

 このお話では、賢い人たちに甘言を弄して破滅させる悪魔が、塔の上から「手で働くより、頭を使って働けば楽をして儲けることができる」と演説しますが、イワンたちは相手にせず、黙々と仕事を続けます。とうとう悪魔はしゃべり疲れて塔から落ちて死んでしまう、というのが結末だったと記憶しています。

 現代の「悪魔」は、どんな人たちでしょう?もういちど「イワンのばか」を読んで考えてみます。





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