今回は、「月1,500円からの読書生活術」シリーズの番外編として、図書館活用術を取り上げたいと思います。題して「図書館は読書生活のキーステーションだ!」です。
■ 図書の分類記号を少しだけ知っておこう
ご存知の通り、図書館の蔵書は原則として、0から9までの分類番号(日本十進分類法)順に並んでいます。
分類記号は原則三桁表示であり、最初の数字が大分類、次が中分類、末尾が細分類を示しています。通常、この三つの数字を「類」「綱」「目」と言います。
例えば、分類記号323は、3類(社会科学)の2綱(法律)の3目(憲法)を示します。
■ 自分の読書の「偏り」を自覚しよう
利用者が圧倒的に多いのは、9類(文学)でしょう。人それぞれ、借りる本には分類上の偏りがあるはずです。私自身の場合は、いちばん多いのは3類(社会科学)、つづいて2類(歴史地理)、6類(産業)といったところでしょうか。
自分の読書の偏りを知ったところで、たまには異分野の本を読んでみるのも良いものです。個人的には、4類(自然科学)の本には、課題の設定の仕方、課題へのアプローチの選び方、といった点で参考になるところが甚だ多いと思っています。
■ 新着図書コーナーで関心の薄い分野に触れる
異分野の本を読もう、と思ったとき役立つのが図書館の「新着図書コーナー」です。私自身も、このコーナーを見て、あまり読む機会のない0類(総記)、1類(哲学宗教)、4類(自然科学)などの図書を手に取って見るようにしています。
最近読んだものでは、『エピソードでつかむ生涯発達心理学』(岡本祐子ほか編著・ミネルヴァ書房 2013)が平易な記述でとっつきやすく、ためになりました。ちなみにこの本は、分類記号143でした。
■ 新着図書コーナーの定点観測でわかること
「新着図書コーナー」を定点観測しておりますと、出版傾向にそのときどきの世の中の重大関心事が大きく反映していることがわかります。
最近感じるテーマは「原発」「放射能」。それは、自然科学や産業の分野にとどまらず、反原発運動を現象として捉えた場合には社会学、放射能被害に係る心のケアといった面では医学、といった分野的広がりを持ちます。
とりわけ個人的に関心を持ったのは『危機の憲法学』(奥平康弘・樋口陽一編著・弘文堂 2013)でした。この本は、東日本大震災を契機に顕在化した憲法上の諸問題に取り組んだ法律書で、「原子力災害と知る権利」についても論じています。
■ 分類記号100番以下が面白い
注目すべきオススメの分野は、0類(総記)です。とくに、
002 知識、学問、学術
007 情報科学
014 資料の収集、資料の整理、資料の保管
019 読書、読書法
070 ジャーナリズム、新聞
のカテゴリーには、好奇心を刺激してくれる面白いものが多く、重宝しています。
大分県在住の不動産鑑定士・中小企業診断士である長野研一が、考えたこと、気付いたこと、調べたこと、疑問に思ったこと等を集めた雑記帳です。 不動産鑑定士の隣接周辺業務開発および中小企業支援を主要なテーマとしています。
2013年6月26日水曜日
2013年6月13日木曜日
履歴書ではわからない「潜在的な業務センス」
人材確保といえば、二言目には「即戦力」という時代になって久しいですね。すべてに余裕を失った時代を反映する現象なのかもしれません。
いまここに、同じ学校を出て、同じ会社に入り、 同じ職場に配属されて同じ仕事を同じ年数経験した二人の若者がい るとします。
彼らの履歴書の内容は自然と似たものになりますし、 顕在的な業務スキルもきっと同程度でしょう。
しかしながら、彼らの業務感覚というか、 潜在的な業務センスには、 数年で大きな差が生まれている可能性があります。 そうした差を生むのは、 それぞれが感じた問題意識の質と量の違いだと思います(つきつめれば、生まれ育ちの違いなのかもしれません)。
このような差は、 経験や顕在的業務スキルに着目しただけでは決してわかりません。彼らを従前と違う業務やより高度な判断を要する業務につけたとき に、一気に顕在化することになります。
本来であれば、経験に寄りかからず異なる視点で物事を捉えられるか、知識経験の乏しい業務を遂行するためにどのような工夫をするか、といったところが採用にあたって重要なチェックポイントにされるべきだと思います。しかしながら、知識経験ベースでものを考える人は、 他人を評価する時も知識経験の多寡を基準にしがちです(それ以外の評価基準を持たないからでしょう)。そのような人物に、これら二人の若者の差を見抜くことは困難だと思います。
「意欲的でチャレンジ精神にあふれ、専門的知識と技術を持ち、コミュニケーション能力の高い人材を月給二十万円で雇いたい」というような話を聞くと、 飯を食わない嫁ならもらってもいい、 と言ったケチな男の昔話を連想します。でも実は、そんな人材も確実にいるのです。
問題は二つだけ。
一つは、その人の高い意識と能力を採用側が見抜けるか、ということ。
もう一つは、 そんな人物に身を投じさせるだけの魅力が企業にあるかということ です。
いまここに、同じ学校を出て、同じ会社に入り、
彼らの履歴書の内容は自然と似たものになりますし、
しかしながら、彼らの業務感覚というか、
このような差は、
本来であれば、経験に寄りかからず異なる視点で物事を捉えられるか、知識経験の乏しい業務を遂行するためにどのような工夫をするか、といったところが採用にあたって重要なチェックポイントにされるべきだと思います。しかしながら、知識経験ベースでものを考える人は、
「意欲的でチャレンジ精神にあふれ、専門的知識と技術を持ち、コミュニケーション能力の高い人材を月給二十万円で雇いたい」というような話を聞くと、
問題は二つだけ。
一つは、その人の高い意識と能力を採用側が見抜けるか、ということ。
もう一つは、
2013年6月9日日曜日
月1,500円からの読書生活術(4)
今回は、「ステップ4;読んだ記録を残す」について書きます。
誰かに読まれることを念頭に置かないとしても、その本の資料としての価値はどの程度か、自分にとってどのような点で有益か、第何章あたりが本書の白眉(勘所)か、といった情報を記録しておくことはたいへんいいことだと思っています。
私自身は「ブクログ」というウェブサービスに登録していて、気が向いたもののみ書評を残すことにしています。
ちなみに「ブクログ」とは、会員個々が書籍情報を登録して自分の仮想本棚をオンライン上に作り、蔵書管理やレビューを行うことができるウェブサービスで、無料で登録して利用することができます。
■ アウトプットを前提にするとインプットの質は高まる
本の内容をコンパクトにまとめる、ブックレビュー(書評)を書く等、アウトプットすることを念頭に置いて読むと、ただ漫然と読み進めるより得るものは多いです。反面、あまりに「これに関する情報を得よう」という目的意識が強すぎると、文脈を読み間違えるというか、行間の含意が読み取れなくなることには注意すべきです。
自らアウトプットした情報は、後日自分自身にとってもインプット情報となります。さらにアウトプットを繰り返すことで、アウトプットの質が次第に高まることは、経験上ご存知の通りです。
■ 通読し終わった本は宝物である
前回、「このフレーズいいな、ここは重要だな」と思った箇所には、ぜひともマーカーで印をつけておくべきだ、と書きました。次回参照がきわめて容易になるからです。
要点をノートするなら、読み進めながら記録するより、一度通読したのちマークした箇所を振り返りつつ記録するほうが、全体構造が把握できるぶん、より有益だと思います。
何より、「たしかこの本にはこんなことが書いてあった」ということがわかっているというのは、必要に応じて情報にアクセスする際、とても大きなアドバンテージです。
このようなことから私は、通読し終わった本、とりわけマーカーで印をつけた本は大切に保存しています。
本の内容をコンパクトにまとめる、ブックレビュー(書評)を書く等、アウトプットすることを念頭に置いて読むと、ただ漫然と読み進めるより得るものは多いです。反面、あまりに「これに関する情報を得よう」という目的意識が強すぎると、文脈を読み間違えるというか、行間の含意が読み取れなくなることには注意すべきです。
自らアウトプットした情報は、後日自分自身にとってもインプット情報となります。さらにアウトプットを繰り返すことで、アウトプットの質が次第に高まることは、経験上ご存知の通りです。
■ 通読し終わった本は宝物である
前回、「このフレーズいいな、ここは重要だな」と思った箇所には、ぜひともマーカーで印をつけておくべきだ、と書きました。次回参照がきわめて容易になるからです。
要点をノートするなら、読み進めながら記録するより、一度通読したのちマークした箇所を振り返りつつ記録するほうが、全体構造が把握できるぶん、より有益だと思います。
何より、「たしかこの本にはこんなことが書いてあった」ということがわかっているというのは、必要に応じて情報にアクセスする際、とても大きなアドバンテージです。
このようなことから私は、通読し終わった本、とりわけマーカーで印をつけた本は大切に保存しています。
■ 読んだ記録をどう残すか ① 書評として残す
誰かに読まれることを念頭に置かないとしても、その本の資料としての価値はどの程度か、自分にとってどのような点で有益か、第何章あたりが本書の白眉(勘所)か、といった情報を記録しておくことはたいへんいいことだと思っています。
私自身は「ブクログ」というウェブサービスに登録していて、気が向いたもののみ書評を残すことにしています。
ちなみに「ブクログ」とは、会員個々が書籍情報を登録して自分の仮想本棚をオンライン上に作り、蔵書管理やレビューを行うことができるウェブサービスで、無料で登録して利用することができます。
■ 読んだ記録をどう残すか ② リストとして残す
前掲の「ブクログ」には、読みたい本をリストアップしておき、読み終えた本はその旨記録することにしています。
また図書館で借りた本は、「貸出記録票(レシート)」を専用のノートに順に貼っていくことで管理しています。後日、借りた本を購入したり、再度借りたりするときに便利です。
■ 読んだ記録をどう残すか ③ 図表にして残す
マインドマップにしたり、箇条書きにしたり、表にまとめたりすることで、知識としての定着度も理解度も、資料としての活用可能性もグンと上がります。
下の表は、前回ご紹介した、西股総生 『戦国の軍隊: 現代軍事学から見た戦国大名の軍勢』の中で、日米開戦を例にとって言及されていた「戦略の階層性(戦略・作戦・戦術・戦技の関係)」について、私がパワーポイントで整理したものです(これはこれで、後日当ブログで採り上げたい興味深い内容です)。
前掲の「ブクログ」には、読みたい本をリストアップしておき、読み終えた本はその旨記録することにしています。
また図書館で借りた本は、「貸出記録票(レシート)」を専用のノートに順に貼っていくことで管理しています。後日、借りた本を購入したり、再度借りたりするときに便利です。
■ 読んだ記録をどう残すか ③ 図表にして残す
マインドマップにしたり、箇条書きにしたり、表にまとめたりすることで、知識としての定着度も理解度も、資料としての活用可能性もグンと上がります。
下の表は、前回ご紹介した、西股総生 『戦国の軍隊: 現代軍事学から見た戦国大名の軍勢』の中で、日米開戦を例にとって言及されていた「戦略の階層性(戦略・作戦・戦術・戦技の関係)」について、私がパワーポイントで整理したものです(これはこれで、後日当ブログで採り上げたい興味深い内容です)。
2013年6月3日月曜日
起業する理由は何ですか?
先週末から今週末にかけて、「おおいた学生起業家育成講座」(大分大学主催・大分県委託事業)が開催されています。
昨年に引き続き、私が講師を担当させていただくことになったのですが、4日間にわたる本講座の冒頭、私は受講者のみなさんに次のように語りかけました。
起業家の人たちが起業するのはなぜでしょう?
実現したいビジネスアイデアがあるからでしょうか?
それとも、ただ起業したいから起業するのでしょうか?
どっちが成功しそうだという気がしますか?(受講者から、ビジネスアイデアがある人の方が成功しそう、という声があがる)
そうですね、そんな気がしますよね。
どちらの方が成功に近いか、私にもわかりませんが、周囲を見回す限り「起業したいから起業した」人たちがわりと順調にきているのが目につきます。
それは、どうしてだと思いますか?
私が思うに、それは「とにかく起業したい」人たちは、起業するために必要なのに、自分に足りないものを認識し、それを順次手にいれて行っているから。
起業のネタであるビジネスアイデアがまだないこともあるでしょう。開業資金が足りないこともあるでしょう。でも、起業というゴールをイメージ豊かに描けば、いまの自分に欠けているスキルや経験、人脈、お金、その他もろもろがはっきり見えてきます。
私自身も「起業したいから起業した」人間です。私には足りないものが多かったので、起業を志してから起業するまで長い年月がかかってしまいました。
本講座でみなさんがこれから学んでいく事業計画(ビジネスプラン)は、設定したゴールに向けて足りないものを順次獲得していくための、いわばロードマップみたいなものです。
長丁場ですが、それを一緒に勉強して行きましょう。
起業はビジネスアイデアありきでなくてもいいのだ、というこの問題提起は、受講者のみなさんにかなりの驚きをもって受け止められたようでした。
確固たるアイデアをもっていても、起業しない人はしないものです。他方、アイデアもなしに起業を目指す人は、起業のネタ探しに躍起になるはずです。「このビジネスを応用できないか」「外国で成功しているこのビジネスを日本でもやれないか」などと。
問題意識はアイデアの母。いいアイデアが出てくるまで待っていては、埒が明きません。
昨年に引き続き、私が講師を担当させていただくことになったのですが、4日間にわたる本講座の冒頭、私は受講者のみなさんに次のように語りかけました。
起業家の人たちが起業するのはなぜでしょう?
実現したいビジネスアイデアがあるからでしょうか?
それとも、ただ起業したいから起業するのでしょうか?
どっちが成功しそうだという気がしますか?(受講者から、ビジネスアイデアがある人の方が成功しそう、という声があがる)
そうですね、そんな気がしますよね。
どちらの方が成功に近いか、私にもわかりませんが、周囲を見回す限り「起業したいから起業した」人たちがわりと順調にきているのが目につきます。
それは、どうしてだと思いますか?
私が思うに、それは「とにかく起業したい」人たちは、起業するために必要なのに、自分に足りないものを認識し、それを順次手にいれて行っているから。
起業のネタであるビジネスアイデアがまだないこともあるでしょう。開業資金が足りないこともあるでしょう。でも、起業というゴールをイメージ豊かに描けば、いまの自分に欠けているスキルや経験、人脈、お金、その他もろもろがはっきり見えてきます。
私自身も「起業したいから起業した」人間です。私には足りないものが多かったので、起業を志してから起業するまで長い年月がかかってしまいました。
本講座でみなさんがこれから学んでいく事業計画(ビジネスプラン)は、設定したゴールに向けて足りないものを順次獲得していくための、いわばロードマップみたいなものです。
長丁場ですが、それを一緒に勉強して行きましょう。
起業はビジネスアイデアありきでなくてもいいのだ、というこの問題提起は、受講者のみなさんにかなりの驚きをもって受け止められたようでした。
確固たるアイデアをもっていても、起業しない人はしないものです。他方、アイデアもなしに起業を目指す人は、起業のネタ探しに躍起になるはずです。「このビジネスを応用できないか」「外国で成功しているこのビジネスを日本でもやれないか」などと。
問題意識はアイデアの母。いいアイデアが出てくるまで待っていては、埒が明きません。
2013年5月19日日曜日
月1,500円からの読書生活術(3)
今回は、「ステップ3;探した本を読む」について書きます。と言いつつ『本は「必ずしも」読まなくていい』話からスタートするのですが…。
■ 本は「必ずしも」読まなくていい
小学校一年生の時、手に取った「しろいきば」という本があまり面白くなかったので、すぐ書架に返そうとしたら、担任の三浦先生に「さいごまで読んでからにしなさい」と叱られました。
もちろんこれは、「最後まできちんとやり遂げる」ことを習慣づけるためのご指導だったのでしょう。でも、私たち大人は、「買った本はさいごまで読む」などという掟を自らに課す必要はないと思います(これは多くの識者も言われていることです)。面白くなければ途中でやめればいいのです。
■ 本は「必ずしも」読まなくていい
小学校一年生の時、手に取った「しろいきば」という本があまり面白くなかったので、すぐ書架に返そうとしたら、担任の三浦先生に「さいごまで読んでからにしなさい」と叱られました。
もちろんこれは、「最後まできちんとやり遂げる」ことを習慣づけるためのご指導だったのでしょう。でも、私たち大人は、「買った本はさいごまで読む」などという掟を自らに課す必要はないと思います(これは多くの識者も言われていることです)。面白くなければ途中でやめればいいのです。
■ どんなクズ本にも気づきはある
反面、私は「どんなクズ本にも気づきはある」とも思っています。クズ本であることを念頭に読むと、それなりの気づきはあるものです。例えば、「クズ本のクズ本たるゆえんを探していく」作業というのは、それなりに楽しいし、自らの反省材料になることも少なくない(このブログのように、くだらないことを得々と書き綴ることが他人からどう見えるか等)ように思います。
■ 本は並べているだけでも意味がある
明治大学教授の齋藤 孝さんが「本は、背表紙を眺めるだけでも大きな気づきがある」という趣旨のことを述べられていました。「本を買っただけで読んでない」などということを負担に思う必要はまったくないと思います。「必要なときにいつでも書をひも解くことができる環境を整備しているのだ」という認識で本を探し、入手しておけば、それで目的の半分はすでに達しているのではないでしょうか。
■ 私なりの読み方1『つまみ読み』
明治大学教授の齋藤 孝さんが「本は、背表紙を眺めるだけでも大きな気づきがある」という趣旨のことを述べられていました。「本を買っただけで読んでない」などということを負担に思う必要はまったくないと思います。「必要なときにいつでも書をひも解くことができる環境を整備しているのだ」という認識で本を探し、入手しておけば、それで目的の半分はすでに達しているのではないでしょうか。
■ 私なりの読み方1『つまみ読み』
私の場合、最初から本を読み進めることはほとんどないような気がします。
いちばん多いのは、「まえがき」ないしは序章の記述からその本のハイライトと思われる章や、目次をみて興味をひかれた項目を適当につまむような読み方、名付けて『つまみ読み』です。
『つまみ読み』しただけで終わりのこともあれば、あらためて第一章から取り掛かることもあります(小説などはいうまでもなく最初から読んでいますが)。
稀に、「まえがき」を読むと第一章に進まないではいられないようなすぐれた著作にめぐり会うことがあります。最近読んだものの中では、西股総生 『戦国の軍隊: 現代軍事学から見た戦国大名の軍勢』がまさにそのような本でした。
同書はまず第一章で、秀吉の小田原征伐の前哨戦である山中城攻めを、豪傑渡辺勘兵衛覚書を主人公に辿り、そこから「きわめて組織的な鉄砲戦術と、手柄第一の個人プレーという相反する要素にどのように折り合いを付けたのか?」という本書全体を通じての問題意識を提示しています。つまみ読みをするにはしのびない名著です。
■ 私なりの読み方2『尻から読み』
一般に書物は、最初の数章を本論の前提説明に充てることが多いように思います。
たとえば業務改善をテーマにする本があるとすると「業務改善とは何か」「我が国の製造業におけるカイゼン運動の現状」といった内容がしばらく続くわけです。
初学者なら、それによって業務改善について知識を得ることができ、ひいては後半の本論部分の理解の一助になっていくのでしょうが、ある程度、業務改善について理解していて、アドバンスなヒントがほしい読者であれば、いきなり本論にあたったほうが効率的だし、集中力も持続しやすいといえます。
このような発想から、私は「まえがき」「あとがき」「本論部分(たとえば第五章)」の順に読んで、必要に応じ前半に戻る、という読み方をすることが多いです。
■ 私なりの読み方3『メモ読み』
このような発想から、私は「まえがき」「あとがき」「本論部分(たとえば第五章)」の順に読んで、必要に応じ前半に戻る、という読み方をすることが多いです。
■ 私なりの読み方3『メモ読み』
本を読み進める過程では、いろんな感想やアイデアが浮かぶことがありますが、その場で書きとめておかないと、あとから思い出すのはまず不可能です。
私は、考えが浮かぶ都度、本を傍らに置き、iPadにメモしています。
■ マーカーで次回参照をしやすくする
このフレーズいいな、ここは重要だな、と思った箇所には、ぜひともマーカーで印をつけておくべきだと思います。通読した後、ポイント箇所だけを振り返ることが非常に楽になります。
その意味でも、本は購入して自分のものにしておきたいものです。図書館で借りた本にマークするわけにはいきませんから。
法学部の学生の頃、論点はピンク、自説はオレンジ、その理由づけは黄色、というように色分けしてマークしていました。「何に関する記述か」を見える化するひとつのアイデアだと思います。
■ 105円で雑書を読む楽しみ
プロパーの価格なら購入に二の足を踏むような本でも、105円なら気軽に買えます。これならお風呂に持ち込んで湿気でヨレヨレになっても気にすることはありません。
湯船につかりながら本を読むと、つい読書に集中し、気が付くと入浴効果も上がっているという付随効果もあります。
読書に十分な明るさが確保できるよう、電球を明るいタイプのものに取り換えるとよいと思います。
2013年5月10日金曜日
メディア・リテラシーを担保するネットメディア
先般、安倍総理の次のような発言が報じられました。
『なかなか私たちがこれは伝えたいと思ったことが、テレビのニュースではカットされたり、新聞ではまったく取り上げられないということが多いものですから。』
この発言から、『私は直接国民に話したい。(新聞記者は)帰って下さい。』と言った佐藤栄作元総理を連想する人は少なくないでしょう。
この佐藤元総理のエピソードは、くだんの発言を受けて『じゃ、出て行こう。』と会見場を去った新聞記者たちの矜恃を称えるとともに、意に沿わない報道機関は排除しようとする老政治家の頑迷さを皮肉るニュアンスで引用されることが多かったように思います。
でも、私は今回の安倍総理の発言に、違った感想を抱きました。近年、ネットメディアの台頭により、報道機関が必ずしも国民の知る権利に奉仕しないケースがあることにさまざまな局面で気づかされるようになったからだと思います。
前の大戦では、戦績を誇張した「大本営発表」がなされ、戦争被害や敗走等の不都合な情報の多くは発表されませんでした。その反省に立って、戦後国民の知る権利を支えるものとして、報道の自由には大きな配慮が払われてきたわけです。
報道の自由は、当然に編集の自由を含むわけで、それゆえ私たちはこれまで、報道機関が報じることを「事実」と受け取ってきました。
しかし、私たちは今や、報道機関が報じる必要を感じない(報じたくない)情報にも触れることができます。ネットメディアは、報道機関が切り捨てた情報をテレビや新聞以上にスピーディーに、あまねく拡散する力を持ちました。しかも、そこでは「報道機関が切り捨てた」こと自体が大きなニュースバリューを持ちます。
むかし、旧ソ連体制を皮肉った次のようなジョークがありました。
ニクソンとブレジネフがふたりで駆けっこをした。
その結果をソ連共産党機関紙プラウダは次のように報じた。
『ニクソンはビリから二番目だった。同志ブレジネフは二位入賞を果たした。』
このジョークで、プラウダは事実を正確に伝えています。しかし、読者を誤った解釈に誘導する意図があったことは明白でしょう。
ジョークだと思っていたことが現実に、しかもしばしばあることを知るにつけ、ネットメディアそのものが、既存メディアに対するリテラシーの担保になっている、ということをあらためて意識させられるこの頃です。(写真は本文と関係ありません)
2013年5月7日火曜日
月1,500円からの読書生活術(2)
前回は、「ステップ1;読む本を選ぶ」について述べました。
これに引き続き、今回はステップ1でリストアップした本を探し、入手する「ステップ2;選んだ本を探す・買う」について書きます。
■ 本の入手検討は「7段階」
■ 本の入手検討は「7段階」
私は、おおむね後掲のチャートのように7段階の検討を経て本を入手しています。
月1,500円で充実した読書生活を送るためには、勝間和代さんのように「目についた本はどんどん買う」ことは許されないからです(笑)。
第一段階;まずは図書館で借りてみよう
一読すれば済む本や、まず一度目を通してみたい本は、図書館で借りてみましょう。借りられる期間は通常二週間ほどですから、これをペースメーカーに読み進めてもいいし、返却期限までに読み切れなくても、また借りれば済むこと。気楽に借りましょう。
学術書など数千円もする本は、購入に二の足を踏んで当然です。まず借りて読んでみて、手元に置いておく価値ありと判断してから購入しても遅くありません。
では、お目当ての本が図書館になかったらどうするか。まず類書に目を通してみましょう。1、2か月待ってもよいなら図書館に購入リクエストするのもよい方法です。
第二段階;ブックオフオンラインを活用しよう
ブックオフのお店にはよく行きます。掘り出し物が見つかることもあり、楽しいです。でもよほどのベストセラーでない限りお目当ての本を探すのには向いていません。
ブックオフのお店にはよく行きます。掘り出し物が見つかることもあり、楽しいです。でもよほどのベストセラーでない限りお目当ての本を探すのには向いていません。
この点、ブックオフのオンライン店舗である「ブックオフオンライン」なら、お目当ての本を即座に検索・購入できますし、もし在庫がなくても、入荷したらメールで知らせてくれるよう登録もできるので便利です。なお、配送料は一回350円ですが、1,500円以上なら配送無料となります。
意外と知られていないのは、ブックオフオンラインで新本も買えるということ。新本と古本を組み合わせて1,500円以上にする手もあります。
第三段階;Amazonの前にAmazonマーケットプレイスをチェック
お目当ての本がブックオフオンラインになかったら、新本を買う前に一度、Amazonマーケットプレイスを覗いてみましょう。
Amazonマーケットプレイスは、中古品やレア物などを利用者間で売買できる場で、出店型出品者が「出店」という形で商品を販売するAmazon内のショッピングプレイスでもあります。Amazon各商品の詳細ページの「こちらからも買えますよ」ボックスに表示される「X点の新品/中古品を見る」のリンクをクリックすると、出品商品を見ることができます。1,500円以上なら通常配送無料となるAmazonと違って、書籍一冊当たり250円の送料が商品代金に加算されます。
絶版となった本も出品されているので、どうしても入手したい絶版本がある場合にも重宝します。例えば、ロバート・アンソニーの古典的名著『経営管理システムの基礎』 (高橋吉之助訳・1968年)も、マーケットプレイスならばクリックひとつで買うことができます(価格は出品者によって異なります)。
第四段階;やっぱり書店で手に取ってみるのがベスト
ここでようやく新本を取り扱う書店が登場します。書店でパラパラと内容をチェックしてみて「これは欲しいな!」と思えれば、買うに機は熟していると判断していいでしょう。
編集者の松岡正剛氏は、「読書の達人は、買うときにはすでに一度読んでしまっている」と言われたそうです。達人ならずとも、書店に行けば買った冊数の何倍かの本を手に取って、買うだけの価値があるかどうかの判断をつけているのではないでしょうか。
第五段階;Amazonでさがす
第六段階;その他のオンライン書店でさがす
書店になくともAmazonその他のオンライン書店ならたいていのモノは手に入ります。
Amazon以外にも、楽天ブックスやセブンネットショッピングなど様々なサービスが提供されていますが、このうちセブンネットショッピングは、セブンイレブン店舗で受け取るなら1,500円未満でも送料無料となる点特筆されます。
第七段階;最後の手段・図書館の取り寄せサービスを利用しよう
それでも手に入らない品切れ・絶版本などは、前出のAmazonマーケットプレイスで購入する手もありますが、必ずしも手元に置いておけなくてもよいなら、公立図書館の取寄せサービスを利用することをお勧めします。
私自身も、最寄りの大分県立図書館で、二度取寄せサービスを利用しました。ちなみに大分県立図書館が提供しているサービスは、お目当ての本を在庫している他の図書館から借り受けてくれるというもので、利用者は本の送料を負担することになります。
さて次回は、「ステップ3;探した本を読む」について書きたいと思います。
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