2012年4月7日土曜日

傾聴に値する意見の要件は


 丸山徹さんという方のブログ『裁判員制度徹底解明』〔http://blogs.yahoo.co.jp/maruyama3t/archive/2009/09/20〕
の中に、「日本にも陪審制があった」と題した興味深い記事がありました。

 30年近く前になりますが、私も当時の陪審裁判を取り上げたエッセイ(たしか和久峻三先生)を読みました。
 市井の「門外漢」「法律の素人」「捜査の現場を知らない人」たちが、実に鋭い指摘をしつつ、真実に近づいていく様子が裁判記録から伝わってきて、感動を覚えた記憶があります。


さてブログの中で、丸山さんは、大正デモクラシーの成果である陪審法(当時の陪審制の根拠法)を『日本の法制史上、最も先鋭的、革新的な法律であったと言っても過言ではない。』と評価し、次のように述べておられます。

『15年間で延べ484件の陪審裁判が行われ、81件の無罪判決が出た。無罪率は16.7%。』

『同期間の通常の裁判の無罪率が1.2%から2.0%だったことを勘案すれば、陪審裁判の無罪率は驚異的である。当時の検察、裁判所にとって、それは悪夢であったに違いない。』

『なぜ、こんな劇的な変化が起きたのか。それは、普通の市民である陪審員が、法廷で裁判官が行う被告や証人の尋問を直接きいたり、法廷に提出された証拠を自ら見たりして有罪・無罪の判断をしたからである。』

『刑事裁判の最も基本的な原則が順守された結果、劇的な変化が起きた。密室での被疑者の取り調べ内容が記された調書が、事実上、無条件で証拠となり、有罪判決が下されるというのが当時の裁判の常識であった。陪審裁判は、この常識に従わず、陪審が自らの思考と判断で、事実を認定し、有罪・無罪を決めた。その結果が、無罪率16.7%という数字となって表れたのである。』

  自分は専門家だからとか経験者でないからとかにとらわれないこと。
  一生懸命考えること。
  そして、できれば、思考するためのコツを知っていること。

 どのような分野にせよ、真理に近づくための要件は、この三点に尽きるような気がします。
 それが誰の意見であれ、これらの要件を備えた意見は、傾聴に値すると私は信じます。
(2012.4.7)

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