2013年6月13日木曜日

履歴書ではわからない「潜在的な業務センス」

 人材確保といえば、二言目には「即戦力」という時代になって久しいですね。すべてに余裕を失った時代を反映する現象なのかもしれません。

 いまここに、同じ学校を出て、同じ会社に入り、同じ職場に配属されて同じ仕事を同じ年数経験した二人の若者がいるとします。
 彼らの履歴書の内容は自然と似たものになりますし、顕在的な業務スキルもきっと同程度でしょう。
 しかしながら、彼らの業務感覚というか、潜在的な業務センスには、数年で大きな差が生まれている可能性があります。そうした差を生むのは、それぞれが感じた問題意識の質と量の違いだと思います(つきつめれば、生まれ育ちの違いなのかもしれません)。

 このような差は、経験や顕在的業務スキルに着目しただけでは決してわかりません。彼らを従前と違う業務やより高度な判断を要する業務につけたときに、一気に顕在化することになります。
 
 本来であれば、経験に寄りかからず異なる視点で物事を捉えられるか、知識経験の乏しい業務を遂行するためにどのような工夫をするか、といったところが採用にあたって重要なチェックポイントにされるべきだと思います。しかしながら、知識経験ベースでものを考える人は、他人を評価する時も知識経験の多寡を基準にしがちです(それ以外の評価基準を持たないからでしょう)。そのような人物に、これら二人の若者の差を見抜くことは困難だと思います。

 「意欲的でチャレンジ精神にあふれ、専門的知識と技術を持ち、コミュニケーション能力の高い人材を月給二十万円で雇いたい」というような話を聞くと、飯を食わない嫁ならもらってもいい、と言ったケチな男の昔話を連想します。でも実は、そんな人材も確実にいるのです
 問題は二つだけ。
 一つは、その人の高い意識と能力を採用側が見抜けるか、ということ。
 もう一つは、そんな人物に身を投じさせるだけの魅力が企業にあるかということです。



 

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