2014年4月27日日曜日

アロマオイルで集中力を高める

 今年(2014年)の3月頃、ローズマリーのエッセンシャルオイルが非常に品薄になったことがありました。地元の百貨店でも入荷は4月半ばになると言われましたし、Amazonでも多くの関連商品が在庫なしになっていました。

 発端は、2月25日にテレビ朝日系で放送された『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学~名医が診断 若返り&長生きできる!3つの悩み解決SP』というテレビ番組のようです。

 私自身は視聴していないのですが、同番組の中で「アロマの香りを嗅ぐことで、脳を若返らせ認知症が予防できる。またすでに発症した認知症もアロマオイルで改善する」という話題が取り上げられたようなのです。

 具体的には、ローズマリーとレモンのエッセンシャルオイルを2:1の比でアロマオイル用のペンダントに含ませ、首から下げておくと、認知症に卓効がある由。このオイルは、集中力と記憶力を高める作用があるとも。

 残念ながら、アロマオイル用のペンダントは現在も極めて入手困難なようなのですが、集中力と記憶力を高める作用があるなら、これを仕事に生かさない手はありません。

 下の写真は、私が仕事場で使っているUSB接続式のアロマ・ディフューザー。香り立ちはあまりいいとはいえませんが、火や水の心配がいらず、手軽に使えるのでおすすめです。

 なお、シガーソケットに差し込むタイプのアロマディフューザーもネット通販などで簡単に入手できるので、妙なカーフレグランスを買うよりよほど健康的です。

 そもそも、ディフューザーなどなくとも、アロマを楽しむ方法はあります。ティッシュペーパーに数滴垂らして身近に置いておいてもいいし、スープカップなどの広口の器に熱湯を張り、オイルを数滴垂らせば簡易ディフューザーになります。

 最後にもうひとつ。花粉症などで鼻水が止まらない時、ラベンダーのオイルをティッシュペーパーに数滴垂らして枕元に置くと、不思議に鼻の通りがよくなる由。ぜひお試しを。

 関連サイト http://currentdiary.seesaa.net/article/389907434.html









2014年4月25日金曜日

知っちょることも知らん振りをせにゃならん仕事

 日露戦争で満州軍総司令官をつとめた大山巌(元帥・陸軍大将)は晩年、孫に「おじいさま、軍司令官って、どんなお仕事なの?」と訊かれて「知っちょることも知らん振りをせにゃならん仕事じゃ」と答えたそうです。

 会田雄次『日本人の意識構造』(講談社現代新書)には、まさに「知っちょることも知らん振りをせにゃならん仕事」を実践した大山のエピソードが掲げられています。

 世界史上屈指の大会戦と言われる奉天会戦で、日本側の一斉砲撃が始まった朝。
 
 軍司令部では、異様な緊張感の中、児玉源太郎参謀長が憑かれたように作戦指揮に没頭していました。そこに寝所からおもむろに起きてきた大山は「児玉どん、朝からやかましかが、何ぞごわしたか?」
 一瞬怪訝な顔をした児玉でしたが、そこは陸軍一の秀才である彼のこと、瞬時に大山の意図を察知し、ゆっくりと(いわずもがなの)報告をはじめたそうです。

 大山のオトボケは、前線でも発揮されます。

 狂ったように砲兵部隊を指揮する若手将校のもとに視察に訪れた大山が、轟音の中、何かを尋ねました。総司令官直々の下問に将校が畏まって耳を傾けると大山は「大筒ちゅうもんは、上に向けるほど遠くにとぶんでごわすか?」と訊いています。

 将校が何と答えたかはわかりませんが、内心あっけにとられていたに違いありません。

 これらのエピソードに出てくるトボけた問いかけをおもいっきり意訳するならば、それは「大事においてほど、熱くなりすぎて自分を見失ってはいけないよ」ということでしょう。

 でも「熱くなるな」「堅くなるな」と言われてリラックスできる人は、むしろ稀です。ゆえに大山は、相手が過熱していることをあえて指摘せず、トボけた問いかけでもって我に返らせようとしました。

 人にはそれぞれ、その人なりの事情があり、メンツがあり、プライドがある。それを丸裸にしてしまう厳しく的を射た指摘が、つねに好ましい結果をもたらすわけではないことを彼はよくわかっていたのだと思います。

 蛇足ですが「大筒ちゅうもんは、上に向けるほど遠くにとぶんでごわすか?」と訊いた大山は、砲の設計改良で若くして名を挙げた、砲術のエキスパートだったということです。



 

2014年4月23日水曜日

ケース・ディスカッションに関するノート(2)

 前回は、自作の事例教材『株式会社甲物産』を用いて私がケースリーダーを務めたディスカッションについて書きました。

 今回は、私が作成した前出の事例教材を採り上げ、また違った方向から光を当ててくださった日本文理大学の橋本堅次郎教授の「けんしん大学」3月講座におけるケースリードについて書きます。

 私自身は、ケースリードに当たって、いま事例企業の中で起こっていることの全体構造を明らかにすることを重視しました。それを通じて、なぜ大きな認識のズレやディスコミュニケーションが起こるのか、という問題に接近しようとしたわけです。

 しかし今回、橋本先生は、これとはまったく異なるアプローチを採用されました。ケースに登場する人物のうち、下級職員のBさんに焦点を当て、「彼はどのような人物か」「彼にはどのような能力開発が必要か」「彼はどうすべきだったか」と受講者に問いかけたのです。

 この点、まだ橋本先生には直接お伺いしていないのですが、かかるアプローチをとられた理由は、講演テーマや先生ご自身の専門分野との関わりだけではなかったものと推察します。
 多くの受講者に近い立場にあるBさんの視点に立ったことで、受講者のハードルが下がったであろうことは想像に難くありません。
 
 ケース研究の効用のひとつに「自分とは全く異なる立場で考えることを可能にする」点があることは確かですが、上記のようなアプローチがあり得るということは、私にとって大きな気付きになりました。

 今回、ケースリーダーの立場を離れ、一受講者として講座に参加して改めて感じたことは、受講者が「Bさんという人物について論じているようでいて、結局は発言者自身の仕事観や業務経験の幅や深さを告白しているも同様である」ということです。ケース・ディスカッションの意義と魅力が、そこに大いに現れていると感じた講義でした。




 

 

 

2014年4月5日土曜日

ケース・ディスカッションに関するノート(1)

 前回に引続き、大分県信用組合主催 「けんしん大学」2月講座について書きます。もう一カ月以上前のことになりますが、自らの研究と実践のために振り返って整理しておく必要を強く感じています。

1  「けんしん大学」2月講座における実践

 前回述べた二つの問題意識は、大要次のようなかたちで講座に反映されました。


①導入講義~「新しいリーダーシップ」概説
 これから受講者の方々がリーダーシップ問題について考える準備段階として、リーダーシップとは何か、リーダーシップ問題が質的に変化してきたのはなぜか等について概説しました。ここでは、リーダーシップと「組織における人間行動」や「マネジメント・コントロール」との関わりについても触れました。

②ケース読み込み・各自検討
 事前に配布しておいた事例教材『株式会社甲物産』を各自読んでもらい、この会社で何が起こっているのか、何が問題なのか、自分だったらどうするか等について整理していただきました。
 ちなみに、事例教材『株式会社甲物産』は、私が作成した架空のショートケースです。講座の性質上、事前に時間をかけて読み込むことは望めないので、A4四ページほどのコンパクトな内容とし、組織図や財務諸表などは省略しました。

③グループ・ディスカッション
 四名程度のグループに分かれ、ケースについて意見交換していただきました。グループの統一見解をまとめる必要はなく、意見交換を踏まえて各自の意見をそれぞれブラッシュアップしていただくようお願いしました。
 このような講座では、えてして受講者が「正解は何だろうか」(もっと正確にいえば「講師が正解と想定しているのはどのような答えだろうか」)と考えがちです。この点に関しては「唯一の正解というのはなく、説得力を持ち得れば全部正解」ということをしつこいくらいに繰り返しました。

④クラス・ディスカッション
 上記のプロセスを経て、今度は講師である私が受講者の方々に問いかけるかたちで、全員でケース討議をしました。議論に沿って、ホワイトボードに登場人物それぞれの姿勢や立場、関係などを(リッチ・ピクチャーもどきに)絵ときしていき、現れていない論点をあぶりだすことで、問題の全体構造を明らかにすることを重視しました。

⑤まとめ講義

 ケース討議のまとめをかねて、導入講義でふれた事柄を振り返りました。さらに、今回言及できなかったアドバンスな問題については、参考図書をコメント付きでご紹介しました(けんしん大学事務局のご配慮で、その一部は会場に展示されていました)。


2 ケース討議とは何か

  
 ウイリアム・エレット『入門ケースメソッド教授法』の前書きは、ケース・メソッド(通常、ハーバードスタイルのケース教育を指します)について、こう述べています。

 ケース・メソッドとは、教授から一方的に知識を受け取ることではなく、クラスの仲間と時には口角泡を飛ばしながら議論することにより、知識をつくり出し体得していく教授法である。そして、最終的には、課題や困難に直面したときに、自分がどう臨んでいくかのAttitudeを形成するものである。
 現実の社会においては、多くの場合1つの明確な回答はない。不確実な状況の中で、何が問題であるかを見つけ出し、分析し、最善と思われる解決策を考え、それを実行する手立てを考え、実行する中でどのように軌道修正していくか、このようなプロセスを実行するAttitudeをつくるものである。

 「英知は教えられない」けれど、経営者の立場を疑似体験することを通じ、学生相互の意見交換を通して各自の問題発見力、問題の構造化能力、判断力、意思決定能力を養成しよう、というのが、ケースメソッドの基本的思考であるわけです(注1)。



3 2月講座の反省と総括

 いかんせん前例のない試みということもあり、受講者のみなさんはさぞ戸惑われたことと思います。やや「実験的」色彩を帯びたことも否定できません。また「議論に不慣れな受講者が多い中で、果たして十分な意見交換が成り立つだろうか」という懸念も、必ずしも杞憂ではありませんでした。

 しかし「積極的な発言が相次いだ」とは言えぬまでも、私の問いかけに対しては概ね説得力のある見解が示されましたし、議論のおわりには私が内心「この論点には気付いてほしい」と思っていたポイントが指摘されました。
 受講者の方々は、よく私の期待に応えてくださったと感謝しなくてはなりません。

 ところで、今回用いたケースは、『株式会社甲物産』という架空の会社における具体的な状況について書かれています。
 でも、ケース討議に参加する人々が問われているのは「A課長やB主任やE専務はどんな問題に直面しており、そこでどう行動すべきか(すべきだったか)」ということだけではありません。その背景となる各人の問題意識こそが問われているのです(注2)。ありていに言えば、ケースはある会社の成功(または失敗)物語ではなく、「私たちがこれから直面するであろう問題状況を再現している」のです。登場人物にわが身を置き換えて、俺なら私ならどうするだろう?と考えてみることは、どんな立場にある人にとっても有益だと信じます。


4 おわりに

 上記の実践を通じ、私は 「成功例を知識として学ぶのではなく、事例に即して考えることで自分自身が知恵を身につける」というケース・ディスカッションは、ビジネス教育の手法としてきわめて有効である、と改めて思いました。今後も、実践機会を得て、教材づくりと手法の改善を進めていきたいと思っています。

  この点、さまざまな示唆をくださったのが、日本文理大学の橋本堅次郎教授です。橋本先生は、「けんしん大学」3月講座で、私が作成した前出の事例教材を採り上げ、また違った方向から光を当ててくださいました。次回は、この件について書きたいと思います。

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(注2)講師とて同じことです。リーダーシップの講座を担当する講師は、まさに自身のリーダーシップに対する問題意識を問われているわけです。