2014年7月21日月曜日

メダカからわかる大分のむかし

 昨日、子どもたちを連れて大分市中心部の竹町通りにある少年少女科学体験スペースO-Labo(オーラボ)に行ってきました。

 オーラボは「きっと科学が好きになる・あそんで学ぶワクワク科学体験」をキャッチフレーズに毎週末、小学生向けの科学実験や生物観察講座を開講しています。

 今回参加したのは「メダカと友達になろう」と題した講座です。

 冒頭、講師の松尾敏生先生から、メダカとはどんな生き物か、地域によってどのような外見的特徴があるか、などのお話をうかがったのち、

  メダカは流れに対してどのように泳いでいるだろうか?
  流れを止めて周りの景色だけを動かすとどう反応するだろうか?
  その反応からどのようなことがわかるだろうか?

などを小実験をしつつ考えていきました。
 参加した子どもたちからは様々な意見が出て、とてもよい生物観察講座になったと思います。

 後ろで聴いていた私自身も大変よい勉強になりました(子どもたちより熱心にノートをとりましたww)。

 従来、国内の野生メダカは一種類と考えられてきました。それをメダカと呼んでいたわけです。

 しかしながら、研究が進むにつれ、北海道のメダカと九州のメダカは遺伝子が異なる別種である(人間でいえば人種が違うレベルだそうです)ことがわかってきて、2013年にキタノメダカミナミメダカという二種の標準和名が付けられた由。

 さらに大分県に生息するミナミメダカについて興味深いお話もありました。

 日田市のメダカは北部九州型、大分市や佐伯市のメダカは西瀬戸内型とされてきたところ、ミトコンドリアDNA解析の結果、つい最近になって大分市のメダカは大隅半島などに生息する大隅型であることが判明したというのです。

 松尾先生によれば、メダカは稲作とともに生息地を拡大してきた経緯があり、大分県に三種もの異なるタイプのメダカが生息している興味深い現象も、人文地理的要因による(注1)と考えられるそうです。すなわち、稲作に関連して大分と鹿児島には古くからの物的交流があったと推測されるというのです。

 別府八湯がきわめてバラエティに富む泉質に恵まれていることはよく知られている(注2)ところですが、大分県はメダカの分布でも特筆すべきところがあったんですね。

 しかもそれが古くからこの地で暮らしてきた人々の営為によるものである、ということに一層動かされる気がしました。


(注1)大昔、別府湾に注ぐ大分川・大野川と杵築の八坂川は一本の川だったそうですが、メダカの生息はそれより後の現象と考えられるとのことです。

(注2)11に分類される泉質のうち10種類の湯を楽しむことができます。





2014年7月1日火曜日

ブルー・ジャスミンと「価値相対性」

 もう25年以上も前のこと。世はバブル真っ盛りでした。

 当時、司法試験を受験していた知人がこんなことを言いました。

「僕が司法試験の受験生だと知ると、みんな『すごいですね』という。でも心のどこかで、もしかしたら報われることのない努力を何年も続ける、奇特な人だと思ってるんだろうね。」

 そんなことを今更ながら思い出したのは、映画館でウッディ・アレン監督脚本、ケイト・ブランシェット主演の『ブルー・ジャスミン』を見ていた時のことでした。

 映画評論家の高崎俊夫氏は、

『一文無しなのに、根拠のないプライドと過去の虚名のみを糧に生きる、この傍迷惑なヒロインは、見る者の共感を完璧に拒む。』

と評していますが、私は彼女を鼻持ちならないイヤな女とは全く思いませんでした(滑稽だとは思っいましたが)。

 ふと頭に浮かんだのは「価値相対性」という言葉です。

 誰かにとって人生を賭ける価値のあることが、別の人から見たらバカみたいに見えることなど、珍しいことではないと思います。そういう達観がないと、東大を目指さない人間はクズだなどと思ってしまうことになりかねません。

 映画の中では、物事を深く考えず、享楽的にセレブ生活を満喫していたジャスミンが、じつは自分の見たいものだけを見、見たくないものからは目をそむけていたことが次第に明らかになっていきます。

 それは「享楽的なセレブ妻を演じていた」という表現とは、若干ニュアンスが違います。自らをも欺いていたという点において。

 ウッディ・アレン監督は、見る者に「自分の中のジャスミンに気づけ。そして、嗤え。」と言っているのではないか、ふとそう思いました。